演奏会、コンサート、リサイタルの違いは何？

日々さまざまな場所で「演奏会」や「コンサート」と銘打ち音楽が演奏されておりますが、日本において「演奏会」と「コンサート」という言葉は明確な違いがあって使われているのでしょうか？

演奏会とコンサートの違い
リサイタルとは？
1. リサイタルとは？
2. リサイタルという言葉の由来
まとめ

演奏会とコンサートの違い

言葉の意味

結論から言うと、日本における「演奏会」と「コンサート」という言葉自体には明確な違いはないものと考えられます。コンサート（Concert）を日本語にしたものが演奏会、という認識で良いかと思います。
ではコンサート・演奏会とはそもそもどういうものなのかというと、Wikipediaによれば

音楽そのものを聞きにくる聴衆をターゲットとして音楽を演奏するイベント。音楽の演奏を含む物であっても、オペラ、バレエ、ミュージカル等のように演劇や舞踊と一体化している場合や、パーティなどで、余興、BGMとして演奏される場合は、演奏会とはみなさない場合が多い

・・・とあるため、聴衆の前で音楽だけを演奏するものは演奏会・コンサートに該当するようです。

一般的なイメージ

辞書にある言葉の意味だけですと明確な違いはありませんが、弊社のお客様を含めさまざまな演奏家の方の公演を見ると少し使い分けて使用されているように感じられます。

これはあくまでも印象論ですが、どちらかといえば小〜中規模のものについては演奏会、中〜大規模のものについてはコンサート、・・・という言葉を使う方が多いと感じられます。

しかし、大規模で演奏会と銘打たれることもありますし、小規模でコンサートと銘打たれておられることもあります。そして前述したように言葉の意味自体は同じなので、どちらを使用しても問題ないと言えるでしょう。

コンサートという言葉の由来

コンサートは英語の「concert」に由来しています。この「concert」は「協奏曲」という意味の他に、「合唱」「合奏」「一致」「協力」「協調」などの意味も持つ言葉で、「コンチェルト（concerto）」と同源です。この言葉はラテン語の「論争する」や「競い合う」を意味する「concerto」に由来しています。

面白いことに、「協調」と「論争」は正反対の意味を持つ言葉ですが、この言葉の起源を考えると、「con」は「一緒」を意味し、「certo」は「認識」や「決定」といった意味を含んでいます。したがって、「協調するための論争」という意味がこの言葉から派生したと考えられます。

この由来を知ると、複数で演奏するものに対しては演奏会・コンサートという言葉を使用することは問題ないと考えられますが、単独での演奏に関しては違う表現を使用した方が良いと考えられます。

リサイタルとは？

同じように聴衆の前で音楽を演奏する表現として「リサイタル」やという言葉も使われますがリサイタルと演奏会・コンサートとの違いはどこにあるのでしょうか？

リサイタルとは？

元々は詩の朗読会を意味していましたが、現在ではクラシック音楽の独奏会を指すことが多いです。ただし、伴奏者がいる場合でも、主役は演奏家1人であるため、リサイタルと呼ばれます。また、ポピュラー音楽のワンマンライブもリサイタルと呼ばれることがあり、リサイタルは1人の演奏家が自分の演奏を披露する場です。

リサイタルは、1人の演奏家が主役の演奏会です。鍵盤楽器など1人で演奏できる楽器の場合は1人だけで、旋律楽器や声楽の場合は伴奏者などを伴うこともあります。コンサートは、本来は演奏会全般を指しますが、狭義にはオーケストラや合唱団など大人数が主役の演奏会を指します。

リサイタルという言葉の由来

「リサイタル」は英語の「recital」に由来する言葉で、音楽や演奏会を指します。この言葉の語源はラテン語の「recite（朗読する）」にあり、かつては聴衆に向かって詩を朗読・朗誦する行為を指していました。現在では、主に一人またはごく少人数の演奏家による音楽の演奏会を指します。

「リサイタル」は、同義語の「コンサート（concert）」とは異なり、演奏家が複数人で演奏し、入場料を取るのとは異なり、通常、一人の演奏者が自身の技巧や表現力を披露し、中には入場料は取られないケースもあります。

まとめ

コンサートと演奏会はほぼ同じ意味合いですが、コンサート＆演奏会とリサイタルは異なる意味もつことがわかります。

項目	リサイタル	コンサート
演奏者や歌手の人数	基本的に1人（伴奏者を伴うこともあり）	複数名
規模	小規模〜中規模	大規模
雰囲気	カジュアルなことが多い	フォーマルなことが多い