今や音楽を届ける手段としてはCDよりもサブスクリプションが主流になってきました。しかし音楽を包み込むパッケージという役割とは別に、創造力を大いに刺激する「アート」としてのジャケットデザインの存在意義は今でも色あせる事なく脈々と続いております。
そんなジャケット文化の中で特に誰もが一度は見たことがあるであろうジャケットを手がけ、音楽そのものの視覚イメージを決定づけるほどのインパクトを残した歴史的なジャケットデザイナーをピックアップしてみました。
タイトルではCDジャケットデザイナーと書いていますが、レコードなども含まれますがあしからず。
ヒプノシス
個人的にNo.1ジャケットデザイナーはこの「ヒプノシス」です。誰も真似出来ない独自の美意識とセンスで数々の名盤を世に送り出してきました。このピンクフロイドの原始心母しかり、レッドツェッペリン、ブラックサバス、10cc、オーディオアクティブ、そして日本からは松任谷由実などジャンルや時代を超えて様々な作品を手がけています。以下はピンクフロイドの「原始心母」と、クウォーターマス「Quatermass」です。
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ロジャー・ディーン
映画アバターの世界観がこのロジャー・ディーンのジャケットに酷似しているということで話題になったので、そこから名前を知った人も多いかと思いますが彼はまさしくカバーアートの巨匠です。CDジャケットデザインというよりはレコードジャケットデザインの人ですが、そのオリジナリティ溢れる世界観は今なお多くのデザイナーに影響を与えております。「yes」の作品はかなり手がけており、以下は「Yessongs」のアートワークです。
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キーフ
ヒプノシスやロジャー・ディーンとならぶカバーアートの巨匠キーフ。幻想的で独特ななイメージを作り出し、ノスタルジーを感じさせるキーフならではの世界観を持っております。ジャケットは「AFFINITY」です。
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ミック・ロック
ミック・ロックはヒプノシスやキーフ、ロジャーディーンなどと並び、70年代を象徴するクリエイターです。ルー・リードやデヴィッド・ボウイ、以下のイギー・ポップ「Raw Power」などを作品を手がけたフォトグラファーです。
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ジェイミー・リード
SEX PISTOLSの作品を手がけたジェイミー・リード。これは誰もが一度は見た事があるのではないでしょうか?このショッキングピンクとイエローの「NEVER MIND THE BOLLOCKS」以外にもエリザベス女王のコラージュなどもかなり有名ですね。パンクロックのイメージを決定づけたといっても過言ではない秀逸な名デザインです。
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ロバート・フィッシャー
90年代を代表するジャケットデザイナーです。今また90年代のファッションや音楽が再評価されてきておりますが、ロバート・フィッシャーがそのビジュアルイメージを気付き上げた一人であることは間違いありません。言わずと知れたニルヴァーナのこのジャケット。「赤ちゃん」「水中」と聴けばまずこのジャケが浮かんできますよね。そして同じくらいインパクトあるBECK「ODELAY」を手がけたのもこのロバート・フィッシャーです。
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バリー・ゴッドバー
ベスト・オブ・インパクト!!「クリムゾン・キングの宮殿」のジャケットを手がけたのがバリー・ゴッドバーです。この絵を残して24歳という若さで他界した人物ですが、キングクリムゾンの世界観に匹敵する計り知れないエネルギーを感じます。インパクトが大きいジャケットなので色々なパロディネタにもされていますね。
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ロバート・クラム
ジャニス・ジョップリンといえばこのビジュアルを思い出す人は多いのではないでしょうか?時代とアメリカっぽさを感じ、キュートでポップなデザインです。このジャケットもバリーゴッドバー同様に様々なパロディをされているジャケットの1つです。
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フランク・コジック
一見可愛いタッチで描かれたイラストですがよくよく見ると…というのフランク・コジックの十八番です。このMELVINSをはじめアンダーグラウンドなバンドに愛されているアーティストで、ローブローアート界の巨匠であります。普通にポスターやTシャツだけでも欲しくなるアートワークです。
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エムエム・パリス
オシャレで洗練されたデザインを提供し続けているミカエルとマティアスからなるこのエムエム。フランス独特の世界観を持っています。このビョークの「Vespertine」以降、似たようなジャケットが日本でも流行りましたね。
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ピーター・サヴィル
Factory Rrecord(ファクトリー・レコード)のデザインを手がけるなどしたUKを代表するクリエイターのピーターサヴィル。他にはPulp(パルプ)やNew Order(ニュー・オーダー)、Joy Division(ジョイ・ディヴィジョン)などを手がけています。
この「THE LOUNGE LIZARDS」はシンプルでありながら絶妙の構図とタイポがとてもカッコいい一枚です。
ヴォーン・オリバー
どこか80年代っぽさを感じるこのヴォーン・オリバーのアートワーク。ピクシーズの「Doolittle」の世界観をうまく表した退廃的で耽美的なビジュアルに仕上がっています。「Lush」や「Cocteau Twins」等も手がけ、ロバート・フィッシャーなどと並び、90年代を代表するデザイナーといえるのではないでしょうか。
リズ・ヘール
L7なども手がけたり普通のエディトリアルの仕事をしたりもするリズ・ヘール。The Germsの音楽からしててっきり男性デザイナーかと思いきや女性という事を後に知って少々驚きました。
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ニーゲル・ウェイマウス
このニーゲル・ウェイマウスはリックグリフィンと同じ時代に生きた一人でサイケなポスターを多く手がける人物です。BORISにもオマージュされたこのニック・ドレイク「Bryter Layter」のジャケットは独特の雰囲気があります。
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リック・グリフィン
60年代後半から70年代初頭というまさしくサイケデリック・ムーブメントのど真ん中で活躍したのがサイケデリック・ポスターの巨匠リック・グリフィンです。パンクロック=ジェイミー・リードなら、サイケ=リック・グリフィンといってもよいくらいサイケデリックのイメージを構築した一人です。
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ミー・カンパニー
このビョーク「Homogenic」でミー・カンパニーを知った人は多いのではないでしょうか。ある種「キングクリムゾンの宮殿」に匹敵するインパクトと異彩を放つ世界観です。特殊印刷などを駆使したこのジャケットはレコードでは出来ないCDならではのデザインといっても良いかもしれません。
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マイク・ミルズ
X-girlのアートワークなどでもおなじみマイク・ミルズです。彼もまた90年代を代表するデザイナーではないでしょうか。どこか可愛らしさもあり、息の抜けたような独自の世界観でジャケットアートを構築しています。
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パスヘッド
パスヘッドの作品はこのメタリカの「St. Anger」以外にもパンク・ハードコアのシーンではよく見かけます。しかし説明不要にカッコいいです。いわゆるローブローアートでくくられるようなアートワークですが、時代や世代を超えて若者を刺激する普遍的な「カッコよさ」「悪っぽさ」をもったデザイナーです。
以上、いかがだったでしょうか?音楽だけでは足りない何かを補うアートワーク。音楽を伝達するメディアが変わっても、音楽を彩るアートワークの世界は普遍的なものであって欲しいと願います。